【受賞企業訪問】日鉄工材さま 2018年10月16日
【事業の概要】
商品・サービス | 電解銅箔製造用チタン製電着ドラムが主力製品(売上の60%) 銅箔をつくるための装置の1つです。 硫酸銅液の槽に、この電着ドラムを入れ、回転させて電気を流すとドラム表面に銅が電着します(陰極)。銅箔は、スマートフォンの回路や電気自動車のリチウムイオン電池の負極用集電体などで使われています。 |
顧客・市場 |
銅箔を製造するメーカー。 |
競争環境 | 世界シェア 70%、日本シェア100% この精度の、電着ドラムをつくる技術をもった会社が他にないため。 |
経営資源 | 人財(約100人)、各種工場設備 |
【特出すべき点】
2012年の経営状況は、赤字(売上高営業利益率▲21%)。
1941年に日本初のステンレスパイプを製造販売したのが老舗メーカーで、「特殊鋼の溶接技術」をはじめ匠の技術をもっていたが、マネジメントができていない状態だったそうです。
その状況で、現社長の石川昌弘さんが着任。社内改革を進め、現在では製品世界シェア70%の超高収益企業となっています。2つの事を順番にとりくんでいます。
(1)はじめに“ゆるい会社風土”をたたき直す
社長曰く「“ゆるい会社風土”で、環境変化を理由に決めたことをやりきらない、結果に責任を負わない体質でした。私には“難破船”のように見えました。まずは、決めたことをきちんとやる経営体質改善に取り組みました。バランススコアカードを中小企業向けにカスタマイズして“戦略課題大工程表”を作りオンリーワン・ナンバーワンになるための戦略課題を確実に実行しました」(1年半後に、売上高営業利益率6%に改善)
まずは、基本をしっかり固めたそうです。
(2)次に”社員の気持ちをもりあげる”
利益は出たのですが、そのとき、「黒字になって、これからボーナスが上がるので良かったね」と現場の人に言ったところ、「この忙しさが続くと思うと、ぞーっとする」と言われたそうです。「リストラを回避して頑張ってきたのに、この言葉はショックでした」と社長は言います。
改善活動で給与を増やすだけでは社員は幸せにならないと思うとともに、業務繁忙になるにつれて社員が義務的に受け身に仕事をしていると感じたそうです。社員が仕事にやりがいを持ち、幸せを感じる会社にしたいと考え、2014年10月から経営品質に取組みはじめたそうです。
ここから、経営品質向上活動(顧客満足、社員満足、利益を同時達成する仕組みづくり)がはじまります。
そして、「ベストマッチ製品開発」(顧客との協働開発)や、「チームの目標管理をジグソーパズルで行う工夫」(右のように、社員の写真で9ピースのジグソーをつくり、達成したところからはめ込んでいく)、「幸せ円グラフ」「ハイパーグッドジョブ活動」といった、さまざまな社員中心の活動を展開されたやりがいにつなげています。